はじめに
「虫歯の治療なのに、なぜこんなに通わなければいけないの?」歯科治療を受けたことがある方の多くが抱く疑問です。同じ虫歯でも、1回で終わる場合もあれば、5回、10回と何度も通院が必要な場合もあります。この違いは何でしょうか。実は、虫歯の深さ、大きさ、位置、治療方法などにより、必要な治療回数は大きく異なります。また、歯科医院の方針や、選択する材料によっても変わります。治療回数が多いことに不満を感じる方もいますが、その背景には医学的な理由や、歯を長持ちさせるための配慮があります。治療回数の違いを理解することで、納得して治療を受けることができ、早期発見の重要性も実感できます。本記事では、虫歯の治療回数が異なる理由、虫歯の段階別の治療回数、そして治療を早く終わらせるためのポイントについて詳しく解説します。
虫歯の深さによる違い
虫歯の治療回数を最も大きく左右するのが、虫歯の深さです。
虫歯はC0からC4まで段階があり、深くなるほど治療が複雑になり、回数が増えます。
C1(エナメル質の虫歯)は、最も浅い虫歯です。エナメル質だけが侵されている状態で、治療は虫歯を削り、レジン(プラスチック)を詰めるだけです。1回、30分から1時間程度で完了します。
C2(象牙質の虫歯)は、象牙質まで達した虫歯です。削る量が増えます。小さければ1回で済みますが、大きい場合は型を取って詰め物(インレー)を作成するため、2回かかります。1回目に虫歯を削って型を取り、2回目に詰め物を装着します。
C3(神経に達した虫歯)は、最も治療回数が多くなります。神経を取る根管治療が必要で、最低でも3回から5回、複雑な場合は10回以上かかることもあります。
C4(歯冠が崩壊した虫歯)は、多くの場合抜歯が必要です。抜歯後、ブリッジ、入れ歯、またはインプラントで欠損を補うため、さらに複数回の通院が必要になります。
根管治療が必要な場合
虫歯が神経に達したC3の場合、根管治療が必要になり、治療回数が大幅に増えます。
根管治療とは、感染した神経を取り除き、根の中を清掃して薬を詰める処置です。非常に繊細で時間のかかる治療です。
根管治療の基本的な流れは、まず神経を取り除き、根の長さを測定します(1回目)。次に、根の中を拡大し、清掃します。細菌を完全に除去するため、何度も洗浄と消毒を繰り返します(2回目から4回目、場合により10回以上)。根の中が完全にきれいになったら、薬を詰めます(最終回)。
根の形は複雑で、人により異なります。根が複数ある奥歯は特に複雑で、治療に時間がかかります。前歯は根が1本で比較的単純なため、回数が少なく済みます。
感染がひどい場合、膿が溜まっている場合などは、さらに回数が増えます。
根管治療後は、被せ物(クラウン)を作成するため、さらに2回から3回かかります。型を取り、仮の被せ物をつけ、最終的な被せ物を装着します。
詰め物や被せ物の作成
型を取って詰め物や被せ物を作成する場合、最低でも2回の通院が必要です。
保険診療の金属の詰め物や被せ物は、歯科技工所で作成されるため、1週間から2週間かかります。その間は仮の詰め物や被せ物をつけます。
セラミックなどの自費診療の材料も、同様に作成に時間がかかります。
調整が必要な場合、さらに1回から2回追加されることもあります。
複数の虫歯がある場合
虫歯が複数ある場合、治療回数は当然増えます。
虫歯が5本あれば、単純計算で5倍の回数がかかります。ただし、同じ日に複数の歯を治療できる場合もあります。
痛みがある歯、進行している虫歯から優先的に治療します。
全ての虫歯を一度に治療することは、患者の負担が大きく、麻酔の量も増えるため、通常は数本ずつ治療します。
歯科医院の方針の違い
同じ虫歯でも、歯科医院により治療回数が異なることがあります。
1回の治療時間を長く取り、できるだけ少ない回数で終わらせる方針の歯科医院もあれば、1回の治療時間を短くし、回数を多く設定する歯科医院もあります。
どちらが良いとは一概に言えません。長時間の治療は患者の負担が大きいですが、通院回数は減ります。短時間の治療は負担が少ないですが、通院回数が増えます。
患者の希望や生活スタイルに合わせて、相談できる歯科医院を選ぶことが重要です。
材料の選択による違い
選択する材料によっても、治療回数が変わることがあります。
レジン(プラスチック)は、その場で詰めることができるため、1回で済みます。
型を取って作成する詰め物や被せ物は、最低2回かかります。
ただし、レジンは強度や耐久性で劣るため、大きな虫歯や奥歯には適さないこともあります。
セラミックの中には、デジタル技術を使用して即日で作成できるものもあり、回数を減らせることがあります。
痛みや症状の有無
痛みや腫れがある場合、すぐに本格的な治療ができないことがあります。
急性の炎症がある場合、まず応急処置をして炎症を抑え、落ち着いてから本格的な治療を開始します。このため、回数が増えます。
痛みがなく、初期の虫歯であれば、スムーズに治療が進み、回数が少なく済みます。
経過観察が必要な場合
虫歯が神経に近い場合、慎重な治療が必要です。
神経を残せるかどうか微妙な場合、まず一部を削り、様子を見ることがあります。痛みが出なければ神経を残して治療を完了し、痛みが出れば根管治療に移行します。
このような慎重なアプローチにより、回数が増えることがありますが、神経を残せる可能性が高まります。
治療を早く終わらせるためのポイント
では、虫歯の治療を早く終わらせるには、どうすればよいでしょうか。
第一に、早期発見、早期治療です。定期検診により初期の虫歯を発見し、C1やC2の段階で治療すれば、1回から2回で済みます。痛みが出てからでは、根管治療が必要になり、回数が大幅に増えます。
第二に、予約を守ることです。予約をキャンセルしたり、間隔を空けすぎたりすると、治療期間が長引きます。特に根管治療中は、定期的に通うことが重要です。
第三に、治療の優先順位を歯科医師と相談することです。急ぎの用事がある場合、最小限の治療で一時的に対処し、後で本格的な治療をすることもできます。
第四に、1回の治療時間を長く取ることを希望する場合、歯科医師に相談します。可能であれば、複数の歯を同時に治療するなどの対応をしてもらえることもあります。
第五に、虫歯を増やさないことです。1本の虫歯を治療している間に、他の歯が虫歯になれば、治療は終わりません。予防を徹底しましょう。
治療を中断してはいけない理由
虫歯の治療を途中で中断することは非常に危険です。
特に根管治療中に中断すると、感染が悪化し、痛みや腫れが再発します。最悪の場合、歯を残せなくなります。
仮の詰め物のまま放置すると、取れたり、隙間から細菌が入ったりします。
型を取った後に通院をやめると、隣の歯が倒れてきて、作成した詰め物が合わなくなります。
「忙しい」「痛みがなくなったから」という理由で中断する方がいますが、治療を完了させることが非常に重要です。
保険診療と自費診療の違い
保険診療と自費診療で、治療回数に違いはあるのでしょうか。
基本的な治療の流れは同じです。虫歯の深さが同じであれば、保険でも自費でも、必要な回数はほぼ同じです。
ただし、自費診療では、デジタル技術を使った即日での詰め物作成など、先進的な方法により回数を減らせることがあります。
また、自費診療では、1回の治療時間を長く取れることが多く、治療の進みが速いこともあります。
子どもの虫歯治療
子どもの虫歯治療は、大人とは異なる配慮が必要です。
子どもは長時間じっとしていられないため、1回の治療時間を短くし、回数を増やすことがあります。
また、治療に慣れるため、最初は簡単な処置から始め、徐々に本格的な治療に進むこともあります。これにより、トータルの回数は増えますが、子どもが歯科治療を嫌がらなくなる効果があります。
乳歯の虫歯も、永久歯と同様に丁寧な治療が必要です。回数がかかっても、適切に治療することが重要です。
まとめ
虫歯の治療回数は、虫歯の深さ、大きさ、数、治療方法、材料の選択、歯科医院の方針などにより大きく異なります。
初期の虫歯(C1、C2)であれば1回から2回で済みますが、神経に達した虫歯(C3)では根管治療が必要で、3回から10回以上かかります。
治療回数を最小限にするには、定期検診による早期発見が最も重要です。初期の段階で治療すれば、簡単で痛みも少なく、回数も少なく、費用も安く済みます。
治療を途中で中断せず、最後まで通院することも大切です。予約を守り、歯科医師と協力して、確実に治療を完了させましょう。
「なぜこんなに回数がかかるの?」と感じたら、遠慮せず歯科医師に質問しましょう。治療の必要性と計画を理解することで、納得して治療を受けられます。
治療内容をしっかりとご説明し、納得して頂くことで怖くない歯科医院を目指します!
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