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子どものフッ素の正しい使い方


はじめに

子どもの虫歯予防において、フッ素は非常に効果的な手段として広く認識されています。フッ素は歯質を強化し、虫歯菌の活動を抑制し、初期虫歯の再石灰化を促進する働きがあります。しかし、「フッ素は子どもに使っても安全なのか」「どのくらいの量を使えばいいのか」「飲み込んでしまっても大丈夫なのか」といった疑問や不安を持つ保護者の方も少なくありません。フッ素は適切に使用すれば非常に安全で効果的ですが、誤った使い方をすると問題が生じる可能性もあります。この記事では、子どものフッ素の正しい使い方について、年齢別の使用量、注意点、フッ素配合歯磨き粉の選び方などを詳しく解説していきます。

フッ素とは

フッ素の働き

フッ素(フッ化物)は、自然界に広く存在する元素です。歯科予防においては、以下の3つの働きにより虫歯を予防します。

第一に、歯の再石灰化を促進します。初期の虫歯では、歯の表面からミネラルが溶け出していますが、フッ素はこの失われたミネラルを歯に戻す作用を助けます。

第二に、歯質を強化します。フッ素が歯のエナメル質に取り込まれると、酸に溶けにくい強い歯質になります。

第三に、虫歯菌の活動を抑制します。フッ素は虫歯菌が酸を作り出す働きを弱める効果があります。

フッ素の安全性

適切な濃度と量で使用すれば、フッ素は非常に安全です。世界保健機関(WHO)、日本歯科医師会、日本小児歯科学会など、多くの専門機関がフッ素の使用を推奨しています。

ただし、過剰に摂取すると、歯のフッ素症(歯に白い斑点や褐色の変色が生じる)や、極めて稀ですが急性中毒を引き起こす可能性があります。そのため、適切な量を守ることが重要です。

フッ素配合歯磨き粉の選び方

フッ素濃度の確認

歯磨き粉のパッケージには、フッ素濃度が「ppm」という単位で表示されています。日本では、2017年に歯磨き粉のフッ素濃度の上限が1000ppmから1500ppmに引き上げられました。

子ども用歯磨き粉は、一般的に500ppm、950ppm、1000ppmなどの濃度があります。大人用は1450ppm程度が多いです。

年齢に応じた選択

6歳未満の子どもには、500ppm程度のフッ素配合歯磨き粉が推奨されることが多いです。ただし、虫歯のリスクが高い子どもには、歯科医師の指導の下、1000ppm程度のものを使用することもあります。

6歳以上の子どもには、1000ppm以上のフッ素配合歯磨き粉が推奨されます。永久歯が生え始める時期であり、より高濃度のフッ素による予防効果が期待できます。

フレーバーについて

子ども用歯磨き粉には、イチゴ味やブドウ味など、様々なフレーバーがあります。子どもが歯磨きを嫌がらないよう、好きな味を選ぶことは良いことです。

ただし、美味しすぎて飲み込みたくなるようなものは避けましょう。歯磨き粉は食べ物ではないことを教えることも大切です。

年齢別フッ素の使用量

日本口腔衛生学会などの指針に基づいた、年齢別の推奨使用量を紹介します。

歯が生え始めてから2歳まで

フッ素濃度:900〜1000ppm 使用量:米粒程度(1〜2ミリメートル程度) 回数:1日2回

この時期は、少量のフッ素配合歯磨き粉を使い始める時期です。仕上げ磨きの際に使用します。

3〜5歳

フッ素濃度:900〜1000ppm 使用量:グリーンピース程度(5ミリメートル程度) 回数:1日2回

自分で歯磨きを始める時期ですが、まだうまくできないため、必ず保護者が仕上げ磨きをしましょう。

6歳以上

フッ素濃度:1400〜1500ppm 使用量:歯ブラシの横幅の半分から全体程度(1〜2センチメートル) 回数:1日2回

永久歯が生え始める重要な時期です。より高濃度のフッ素で、生えたての永久歯を守りましょう。

フッ素の正しい使用方法

歯磨きの手順

まず、適切な量の歯磨き粉を歯ブラシにつけます。次に、すべての歯を丁寧に磨きます。奥歯の噛む面、歯と歯の間、歯と歯茎の境目などを忘れずに磨きましょう。

磨く時間は最低2分間が目安です。小さい子どもの場合は、保護者が仕上げ磨きをしっかり行いましょう。

うがいの方法

歯磨き後のうがいは、少量の水で1回だけ行うのが効果的です。何度もうがいをすると、せっかくのフッ素が洗い流されてしまいます。

幼児の場合、うがいがまだ上手にできないことがあります。その場合は、軽く吐き出すだけでも構いません。フッ素配合歯磨き粉を少量使用していれば、飲み込んでしまっても問題ありません。

歯磨き後の注意

歯磨き後30分から1時間程度は、飲食を避けることが推奨されます。フッ素が歯に作用する時間を確保するためです。

就寝前の歯磨きは特に重要です。就寝中は唾液の分泌が減り、虫歯菌が活発になるため、就寝前にフッ素でしっかり保護しましょう。

フッ素塗布(歯科医院でのフッ素応用)

フッ素塗布とは

家庭でのフッ素配合歯磨き粉の使用に加えて、歯科医院で定期的にフッ素塗布を受けることも効果的です。

歯科医院では、家庭用よりも高濃度のフッ素を使用します。歯の表面に直接塗布することで、より強力な虫歯予防効果が得られます。

フッ素塗布の頻度

一般的には、3〜6ヶ月に1回の頻度でフッ素塗布を受けることが推奨されます。虫歯のリスクが高い子どもの場合は、より頻繁に行うこともあります。

フッ素塗布後の注意

フッ素塗布後30分程度は、飲食を避けるよう指示されます。これにより、フッ素が十分に歯に作用する時間を確保します。

フッ素使用時の注意点

誤飲を防ぐ

歯磨き粉は子どもの手の届かない場所に保管しましょう。美味しい味のする歯磨き粉を大量に食べてしまうと、急性中毒を起こす可能性があります。

歯磨きは必ず保護者の監視下で行い、歯磨き粉を食べないよう教えましょう。

適量を守る

「たくさん使えば効果が高い」というわけではありません。推奨される量を守ることが大切です。過剰なフッ素摂取は、歯のフッ素症のリスクを高めます。

フッ素症について

長期間にわたり過剰なフッ素を摂取すると、歯のフッ素症が発症することがあります。歯に白い斑点や線が現れたり、重度の場合は褐色の変色が生じたりします。

ただし、適切な量のフッ素配合歯磨き粉を使用している限り、フッ素症のリスクは非常に低いです。指示された使用量を守りましょう。

アレルギー

フッ素そのものへのアレルギーは非常に稀ですが、歯磨き粉に含まれる他の成分(香料、着色料など)にアレルギー反応を示すことがあります。

口の中に異常が現れた場合は、使用を中止し、歯科医師に相談しましょう。

フッ素以外の虫歯予防も大切

フッ素は虫歯予防の強力な味方ですが、フッ素だけに頼るのではなく、総合的な虫歯予防が重要です。

適切な歯磨き

毎食後、特に就寝前の歯磨きを習慣にしましょう。正しい磨き方を身につけることも大切です。

砂糖の摂取を控える

甘い飲み物や食べ物を頻繁に摂取すると、虫歯のリスクが高まります。おやつの時間を決め、だらだら食べをやめましょう。

定期検診

3〜6ヶ月に一度の定期検診を受け、虫歯の早期発見と予防処置を受けましょう。

シーラント

奥歯の溝は虫歯になりやすい部分です。シーラントという樹脂で溝を埋める予防処置も効果的です。

よくある質問

フッ素は本当に安全ですか

適切な量を使用すれば、非常に安全です。世界中で70年以上の使用実績があり、多くの研究により安全性が確認されています。

フッ素を飲み込んでしまったら

推奨される少量の歯磨き粉であれば、飲み込んでも問題ありません。ただし、大量に飲み込んだ場合は、水や牛乳を飲ませ、医師に相談してください。

いつからフッ素を使い始めればいいですか

歯が生え始めたら、フッ素配合歯磨き粉を使い始めることができます。最初は米粒程度の少量から始めましょう。

まとめ

フッ素は、適切に使用すれば子どもの虫歯予防に非常に効果的です。年齢に応じた適切な濃度と量のフッ素配合歯磨き粉を選び、正しい方法で使用することが重要です。

歯が生え始めたら米粒程度、3〜5歳ではグリーンピース程度、6歳以上では歯ブラシの半分から全体程度の量を使用します。歯磨き後のうがいは少量の水で1回だけ行い、フッ素を口の中に残すことを意識しましょう。

家庭でのフッ素配合歯磨き粉の使用に加えて、歯科医院での定期的なフッ素塗布も効果的です。フッ素と適切な歯磨き、バランスの良い食生活を組み合わせて、子どもの歯を虫歯から守りましょう。

患者様に寄り添い、丁寧で優しいケアを大切にする、怖くない、痛くない歯科医院です。
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