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歯周病と糖尿病の関係:相互に影響し合う二つの病気を理解する


歯周病と糖尿病の関係:相互に影響し合う二つの病気を理解する

はじめに

歯周病と糖尿病は、一見関係のない別々の病気のように思えます。しかし、近年の研究により、この二つの病気が互いに深く影響し合っていることが明らかになってきました。糖尿病の方は歯周病になりやすく、歯周病が糖尿病を悪化させるという相互関係が存在します。この関係を「負のスパイラル」と呼ぶこともあります。日本には糖尿病患者が約1000万人、糖尿病予備群が約1000万人いるとされており、歯周病の成人有病率は約80%に達します。両方の病気を持つ方は非常に多く、適切な管理が必要です。この記事では、歯周病と糖尿病の相互関係のメカニズム、それぞれが与える影響、そして両方の病気を管理するための方法について詳しく解説します。正しい知識を持ち、口腔ケアと血糖コントロールの両方を行うことで、健康的な生活を取り戻しましょう。

歯周病とは

歯周病は、歯と歯茎の間に細菌が侵入し、歯茎や歯を支える骨が破壊される病気です。初期段階では歯肉炎と呼ばれ、歯茎が赤く腫れたり出血したりします。進行すると歯周炎となり、歯を支える骨が溶け、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病の主な原因は、歯垢(プラーク)中の細菌です。適切なブラッシングやフロスを怠ると、歯垢が蓄積し、細菌が増殖します。また、喫煙、ストレス、不規則な生活、そして糖尿病などが、歯周病のリスクを高めます。

糖尿病とは

糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が異常に高くなる病気です。インスリンというホルモンの作用不足により、血糖が細胞に取り込まれず、血液中に溜まってしまいます。1型糖尿病と2型糖尿病があり、日本人の糖尿病の約95%は2型です。

高血糖状態が続くと、全身の血管が傷つき、様々な合併症を引き起こします。糖尿病の三大合併症は、網膜症、腎症、神経障害ですが、近年では歯周病も「第6の合併症」として認識されています。

糖尿病が歯周病を悪化させるメカニズム

免疫機能の低下

高血糖状態が続くと、白血球の機能が低下し、細菌に対する抵抗力が弱まります。歯周病菌に対する防御力が低下し、感染が起こりやすくなります。また、一度感染すると治りにくくなります。

血管障害

糖尿病により細い血管が傷つくと、歯茎への血流が悪くなります。酸素や栄養が十分に供給されず、組織の修復力が低下します。これにより、歯周病が進行しやすくなります。

唾液の減少

糖尿病患者は、唾液の分泌量が減少する傾向があります。唾液には口腔内を洗浄し、細菌の繁殖を抑える働きがありますが、その機能が低下すると歯周病のリスクが高まります。

AGEs(終末糖化産物)の蓄積

高血糖状態では、タンパク質と糖が結合したAGEsという物質が体内に蓄積します。AGEsは炎症を促進し、組織を傷つけるため、歯周病の進行を加速させます。

研究データ

糖尿病患者は、非糖尿病者に比べて歯周病のリスクが約2倍から3倍高いことが、多くの研究で示されています。また、血糖コントロールが不良な患者ほど、歯周病が重症化しやすいことも分かっています。

歯周病が糖尿病を悪化させるメカニズム

炎症性サイトカインの産生

歯周病により歯茎に慢性的な炎症が起こると、TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインという物質が産生されます。これらの物質は血流に乗って全身に運ばれ、インスリンの働きを妨げます。その結果、血糖値が上がりやすくなります。

インスリン抵抗性の増加

炎症性サイトカインは、細胞がインスリンに反応しにくくなる「インスリン抵抗性」を引き起こします。これにより、血糖コントロールが困難になります。

研究データ

複数の研究により、歯周病治療を行うことで、血糖コントロールの指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が平均0.4%程度改善することが示されています。これは、糖尿病薬を一つ追加するのと同等の効果です。

負のスパイラル

糖尿病が歯周病を悪化させ、歯周病が糖尿病を悪化させるという悪循環が生まれます。この負のスパイラルを断ち切るためには、両方の病気に同時にアプローチすることが重要です。

歯周病と糖尿病を持つ方の症状

両方の病気を持つ方は、以下のような症状が現れやすくなります。

歯茎の腫れや出血が頻繁に起こる、歯がぐらぐらする、口臭が強くなる、口の中が乾燥する、傷の治りが遅い、感染症にかかりやすいなどです。

これらの症状に気づいたら、早めに歯科医院と内科(糖尿病専門医)の両方を受診することが大切です。

歯周病治療が糖尿病に与える良い影響

歯周病治療により、以下のような効果が期待できます。

血糖コントロールの改善

歯周病治療により歯茎の炎症が改善すると、炎症性サイトカインの産生が減少し、インスリンの働きが良くなります。その結果、血糖値が下がりやすくなります。

HbA1cの低下

多くの研究で、歯周病治療後にHbA1cが有意に低下することが報告されています。特に、血糖コントロールが不良な方ほど、改善効果が大きい傾向があります。

糖尿病合併症の予防

血糖コントロールが改善すれば、網膜症、腎症、神経障害などの合併症のリスクも低減されます。

糖尿病と歯周病の統合管理

歯周病と糖尿病の両方を持つ方は、医科と歯科が連携して治療を行うことが理想的です。

医科歯科連携

内科医と歯科医師が情報を共有し、協力して治療計画を立てます。血糖値のデータを歯科医師に、口腔内の状態を内科医に伝えることで、より効果的な管理が可能になります。

一部の地域や医療機関では、医科歯科連携の取り組みが進んでおり、糖尿病患者への歯科受診勧奨や、歯周病患者への糖尿病検査などが行われています。

日常生活での管理方法

口腔ケアの徹底

毎日の丁寧な歯磨きとデンタルフロスの使用が基本です。特に歯と歯茎の境目を重点的に磨きましょう。電動歯ブラシの使用も効果的です。朝晩2回以上の歯磨きを習慣にしてください。

定期的な歯科検診

3ヶ月に1回程度、歯科医院で専門的なクリーニングと検診を受けましょう。歯石を除去し、歯周ポケットの深さをチェックしてもらいます。糖尿病があることを必ず歯科医師に伝えてください。

血糖コントロール

食事療法、運動療法、必要に応じて薬物療法により、血糖値を適切な範囲に保ちましょう。医師の指示に従い、定期的に血糖値やHbA1cを測定します。

禁煙

喫煙は、歯周病と糖尿病の両方を悪化させます。禁煙することで、両方の病気のリスクが大幅に減少します。

バランスの良い食事

野菜、果物、全粒穀物、魚などを中心としたバランスの良い食事を心がけましょう。よく噛んで食べることも、血糖コントロールと口腔の健康に良い影響を与えます。

適度な運動

運動は、インスリンの働きを良くし、血糖コントロールを改善します。また、ストレス軽減にもつながり、歯周病のリスクも低減されます。

ストレス管理

ストレスは、血糖値を上げ、免疫力を低下させます。十分な睡眠、リラックスできる時間を持つことが大切です。

歯科治療時の注意点

糖尿病の方が歯科治療を受ける際は、いくつか注意点があります。

血糖コントロール状態の確認

治療前に、現在の血糖コントロール状態を歯科医師に伝えましょう。HbA1cが8%以上など、コントロールが不良な場合は、緊急性のない治療は延期し、まず血糖コントロールを改善することが優先されます。

低血糖への対応

治療が長時間に及ぶ場合や、食事のタイミングがずれる場合は、低血糖に注意が必要です。ブドウ糖やジュースを持参しましょう。

感染予防

抜歯などの観血的処置の後は、感染のリスクが高まります。抗菌薬の予防投与が必要になることもあります。

治癒の遅れ

糖尿病患者は傷の治りが遅いため、術後の経過観察が重要です。

まとめ

歯周病と糖尿病は、互いに悪影響を及ぼし合う関係にあります。糖尿病は歯周病を悪化させ、歯周病は血糖コントロールを困難にします。しかし、歯周病治療により血糖コントロールが改善することも分かっています。両方の病気を持つ方は、医科と歯科が連携した統合管理が理想的です。毎日の丁寧な口腔ケア、定期的な歯科検診、適切な血糖コントロール、禁煙、バランスの良い食事、適度な運動により、両方の病気を管理できます。負のスパイラルを断ち切り、健康的な生活を取り戻すために、今日から行動を始めましょう。糖尿病があることを歯科医師に、歯周病があることを内科医に伝え、協力して治療を進めることが大切です。

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