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歯医者が教える正しい舌のケア方法


はじめに

口腔ケアというと、多くの方が歯磨きを思い浮かべるでしょう。しかし、実は舌のケアも口腔の健康維持において非常に重要です。舌の表面には無数の小さな突起があり、そこに細菌や食べかす、古くなった粘膜細胞などが付着して、白っぽい汚れである「舌苔(ぜったい)」を形成します。舌苔は口臭の主な原因の一つであり、また口腔内の細菌バランスを崩す要因にもなります。しかし、間違った方法で舌のケアをすると、舌を傷つけてしまい、かえって問題を引き起こすこともあります。この記事では、歯科医師の立場から、舌の役割と構造を理解した上で、正しい舌のケア方法について詳しく解説していきます。適切なケアを実践することで、口臭を予防し、口腔全体の健康を保つことができます。舌のケアを日常習慣に取り入れ、清潔で健康な口腔環境を手に入れましょう。

舌の構造と役割

舌の基本構造

舌は筋肉でできた器官で、表面は粘膜で覆われています。舌の表面には、舌乳頭と呼ばれる無数の小さな突起があり、これが舌のザラザラとした質感を作っています。舌乳頭には、味覚を感じる味蕾が存在し、食べ物の味を識別します。また、舌乳頭の間には、細菌や食べかす、剥がれ落ちた粘膜細胞などが溜まりやすく、これが舌苔の原因になります。

舌の重要な役割

舌は、味覚を感じるだけでなく、食べ物を咀嚼する際に食塊を形成し、飲み込む動作を助けます。また、発音や発声にも欠かせない器官です。さらに、舌には自浄作用があり、唾液とともに口腔内を清潔に保つ働きもしています。健康な舌は淡いピンク色をしており、適度に湿っています。

舌苔とは

舌苔は、舌の表面に付着した白っぽい、あるいは黄色っぽい汚れです。主に細菌、食べかす、古くなった粘膜細胞、唾液の成分などで構成されています。薄く舌苔が付いている程度は正常ですが、厚く蓄積すると口臭の原因になったり、味覚が鈍くなったりします。舌苔の量は、口腔内の衛生状態、唾液の分泌量、全身の健康状態などによって変化します。

舌のケアが必要な理由

口臭予防

口臭の約60%は舌苔が原因とされています。舌苔に含まれる細菌が、タンパク質を分解する際に揮発性硫黄化合物という悪臭物質を産生します。これが口臭の主な原因です。舌を清潔に保つことで、口臭を大幅に軽減できます。

味覚の維持

舌苔が厚く蓄積すると、味蕾が覆われてしまい、味覚が鈍くなることがあります。食事の味が分かりにくくなったり、濃い味付けを好むようになったりします。舌を清潔に保つことで、味覚を正常に保つことができます。

口腔内の細菌バランス

舌苔には多くの細菌が含まれており、この細菌が歯や歯茎に移行することで、虫歯や歯周病のリスクが高まります。舌のケアにより、口腔内全体の細菌数を減らし、健康な口腔環境を維持できます。

全身の健康への影響

口腔内の細菌は、血流を通じて全身に影響を及ぼす可能性があります。特に高齢者や免疫力が低下している方では、口腔内の細菌が誤嚥性肺炎の原因になることもあります。舌のケアは、全身の健康維持にもつながります。

正しい舌のケア方法

舌ブラシの選び方

舌専用のブラシを使用することをお勧めします。舌ブラシには、ブラシタイプとヘラタイプがあります。ブラシタイプは柔らかい毛で舌の表面を優しく掃除でき、ヘラタイプは舌苔を効率的に除去できます。初めての方は、柔らかいブラシタイプから始めるとよいでしょう。歯ブラシで代用する場合は、毛先が柔らかいものを選び、専用に1本用意することをお勧めします。

舌のケアのタイミング

舌のケアは、1日1回、朝の歯磨き時に行うのが理想的です。睡眠中は唾液の分泌が減少するため、朝起きたときが最も舌苔が蓄積しています。朝食前に行うことで、細菌を体内に取り込むリスクを減らせます。ただし、毎日行う必要はなく、週に2回から3回程度でも効果があります。

正しい舌磨きの手順

まず、舌を前に出し、鏡で舌の状態を確認します。舌ブラシを水で濡らし、舌の奥から手前に向かって優しくなでるように動かします。決して手前から奥に向かって磨いてはいけません。奥から手前への一方向の動きを5回から10回程度繰り返します。力を入れすぎず、優しく撫でる程度で十分です。ブラシに付着した汚れは、その都度水で洗い流しながら行います。

適切な力加減

舌は非常にデリケートな器官です。力を入れすぎると、舌の表面を傷つけ、痛みや出血、味覚障害を引き起こす可能性があります。舌ブラシを軽く握り、羽で撫でるような優しさで行うことが重要です。痛みを感じたら、力が強すぎるサインです。

舌の中央部と側面

舌の中央部に最も舌苔が溜まりやすいですが、側面も忘れずにケアしましょう。側面は中央部よりもさらに優しく、軽く触れる程度で十分です。舌の先端部分は比較的清潔なため、無理にケアする必要はありません。

してはいけない舌のケア

過度な舌磨き

1日に何度も舌を磨いたり、強い力でゴシゴシこすったりすることは避けてください。舌の表面が傷つき、かえって細菌が繁殖しやすくなったり、味覚障害を引き起こしたりする可能性があります。適度な頻度と優しい力加減が大切です。

硬いブラシの使用

硬い毛の歯ブラシや、目の粗いタオルなどで舌を磨くことは避けましょう。舌の粘膜は非常にデリケートで、硬いブラシは表面を傷つけてしまいます。必ず柔らかい専用のブラシを使用してください。

歯磨き粉の使用

舌のケアに歯磨き粉を使用する必要はありません。研磨剤や発泡剤が含まれる歯磨き粉は、舌を刺激し、粘膜を傷つける可能性があります。水だけで十分です。どうしても使用したい場合は、舌専用のジェルを選びましょう。

舌の根元まで磨く

舌の根元(舌根部)を無理に磨こうとすると、嘔吐反射を引き起こします。また、この部分は扁桃や免疫組織があり、無理に刺激すると炎症を起こす可能性があります。見える範囲の舌の表面だけで十分です。

舌苔が多い場合の対処法

唾液の分泌を促す

唾液には口腔内を洗浄する作用があり、舌苔の蓄積を防ぎます。よく噛んで食事をする、ガムを噛む、水分をこまめに摂取するなどの方法で、唾液の分泌を促しましょう。特にキシリトール配合のガムは、唾液分泌を促進し、口腔環境を整える効果があります。

口呼吸を避ける

口呼吸をすると口の中が乾燥し、舌苔が増えやすくなります。意識的に鼻呼吸を心がけましょう。鼻づまりがある場合は、耳鼻科で治療を受けることをお勧めします。就寝時に口呼吸防止テープを使用することも効果的です。

生活習慣の見直し

喫煙、過度なアルコール摂取、ストレス、睡眠不足などは、唾液の分泌を減少させ、舌苔を増やす原因になります。これらの生活習慣を見直すことで、舌苔の蓄積を抑えられます。また、バランスの取れた食事も口腔の健康に重要です。

舌の運動

舌を動かすことで、舌の血行が良くなり、自浄作用が高まります。舌を前後左右に動かしたり、回転させたりする運動を1日数回行いましょう。また、口蓋(上顎)に舌を押し付ける運動も効果的です。

舌の異常のサイン

舌の色の変化

健康な舌は淡いピンク色ですが、白っぽい、黄色っぽい、茶色っぽい、黒っぽい、赤すぎるなどの変化がある場合、何らかの健康問題のサインかもしれません。舌苔の蓄積以外にも、貧血、ビタミン不足、内臓疾患、感染症などが原因のこともあります。

舌の痛みや違和感

舌が痛む、ピリピリする、しびれる、腫れているなどの症状がある場合は、歯科医院を受診しましょう。口内炎、舌炎、アレルギー反応、神経障害などの可能性があります。また、舌の縁にギザギザの痕(歯痕)がある場合は、歯ぎしりや食いしばり、舌の腫れなどが考えられます。

舌のしこりや潰瘍

舌に硬いしこりがある、2週間以上治らない潰瘍がある、赤や白の斑点があるなどの場合は、早めに歯科医院または口腔外科を受診してください。まれですが、口腔がんの可能性もあります。早期発見が重要です。

舌ケア用品の選び方

舌ブラシの種類

市販されている舌ブラシには、ブラシタイプ、ヘラタイプ、ブラシとヘラの両方がついたタイプなどがあります。初心者にはブラシタイプが使いやすく、慣れてきたらヘラタイプも試してみるとよいでしょう。シリコン製のものは柔らかく、舌に優しいのでお勧めです。

舌専用ジェル

舌のケアを効果的にするための専用ジェルも販売されています。保湿成分や抗菌成分が含まれており、舌苔の除去をサポートします。ただし、必須ではなく、水だけでも十分に効果があります。使用する場合は、刺激の少ないものを選びましょう。

交換時期

舌ブラシは、毛先が開いたり、弾力がなくなったりしたら交換します。一般的には1ヶ月から2ヶ月に一度の交換が目安です。使用後は水でよく洗い、風通しの良い場所で乾燥させましょう。

子どもや高齢者の舌のケア

子どもの場合

子どもの舌は大人よりもデリケートです。無理に舌のケアをする必要はありませんが、口臭が気になる場合や舌苔が多い場合は、優しくケアしてあげましょう。子ども用の柔らかい舌ブラシを使用し、嫌がる場合は無理強いしないことが大切です。

高齢者の場合

高齢者は唾液の分泌が減少し、舌苔が溜まりやすくなります。また、誤嚥性肺炎のリスクもあるため、舌のケアは重要です。本人が自分でできる場合は見守り、難しい場合は介助者が優しくケアしてあげましょう。嘔吐反射に注意しながら、無理のない範囲で行います。

まとめ

舌のケアは、口臭予防、味覚の維持、口腔内の細菌バランス保持、全身の健康維持に重要です。正しい方法は、1日1回、朝の歯磨き時に、柔らかい舌ブラシを使用し、舌の奥から手前に向かって優しくなでることです。力を入れすぎず、羽で撫でるような優しさで行いましょう。

過度な舌磨き、硬いブラシの使用、歯磨き粉の使用、舌の根元まで磨くことは避けてください。舌苔が多い場合は、唾液の分泌を促す、口呼吸を避ける、生活習慣を見直すなどの対策が有効です。舌の色や形、痛みなどに異常を感じたら、早めに歯科医院を受診しましょう。適切な舌のケアを習慣化することで、清潔で健康な口腔環境を維持できます。

 

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