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フロスの正しい使い方|歯ブラシだけでは不十分な理由と効果的な使用法


はじめに

「毎日しっかり歯を磨いているのに虫歯や歯周病になってしまう」という経験はありませんか。実は、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを十分に除去できません。デンタルフロス(以下、フロス)を使うことで、歯ブラシでは届かない部分の清掃が可能になり、口腔衛生が劇的に向上します。しかし、フロスを正しく使えている人は意外と少ないのが現状です。本記事では、フロスの必要性、種類の選び方、正しい使用方法、そしてよくある疑問について詳しく解説します。

なぜフロスが必要なのか

歯ブラシだけでは不十分

歯ブラシによるブラッシングだけでは、歯の表面の汚れは落とせても、歯と歯の間に入り込んだプラーク(歯垢)を除去することはできません。研究によれば、歯ブラシだけでのプラーク除去率は約60%にとどまります。

しかし、フロスを併用することで、プラーク除去率は90%以上に向上します。この30%以上の差が、虫歯や歯周病のリスクに大きく影響するのです。

歯と歯の間から虫歯が始まる

虫歯の約40%は歯と歯の間から発生します。この部分は歯ブラシの毛先が届かないため、フロスでしか清掃できません。特に奥歯の隣接面は、肉眼で確認することも難しく、気づかないうちに虫歯が進行していることがよくあります。

歯周病予防にも効果的

歯周病の原因となるプラークも、歯と歯の間に溜まりやすい特徴があります。この部分のプラークを放置すると、歯茎の炎症や歯周ポケットの深化につながります。

フロスを使うことで、歯と歯の間だけでなく、歯茎の縁の下のプラークも効果的に除去できます。

フロスの種類と選び方

ワックスタイプとノンワックスタイプ

フロスには大きく分けて、ワックスコーティングされているものと、されていないものがあります。

ワックスタイプは、滑りが良く歯間に入れやすいのが特徴です。初心者や歯と歯の間が狭い方におすすめです。ノンワックスタイプは、繊維が広がって汚れを絡め取りやすいという利点がありますが、切れやすく、慣れが必要です。

ホルダー付きフロス

Y字型やF字型のホルダーにフロスが取り付けられているタイプもあります。これらは片手で簡単に使えるため、初心者や手先の器用さに自信がない方に適しています。

ただし、コストが高めで、細かい角度調整がしにくいというデメリットもあります。

糸巻きタイプ

一般的な糸巻きタイプのフロスは、必要な長さを切り取って指に巻きつけて使用します。コストパフォーマンスが良く、自由に角度を調整できるため、慣れれば最も効果的です。

特殊なフロス

歯間が広い方向けのスポンジ状のフロスや、ブリッジやインプラントがある方向けのスーパーフロス(太い部分と細い部分がある)など、用途に応じた特殊なフロスもあります。

自分の口腔状態に合ったタイプを選ぶことが重要です。歯科医院で相談すると、適切なものを提案してもらえます。

正しいフロスの使い方(糸巻きタイプ)

準備

40~50センチ程度の長さでフロスを切り取ります。これは両腕を広げた程度の長さです。短すぎると使いにくく、長すぎると無駄になります。

フロスの両端を左右の中指に2~3回巻きつけます。このとき、実際に使う部分が10~15センチ程度になるようにします。親指と人差し指で軽くつまみ、ピンと張った状態にします。

歯間への挿入

フロスを歯と歯の間に当て、ノコギリを引くように優しく前後に動かしながら、ゆっくりと歯間に挿入します。このとき、勢いよく押し込むと歯茎を傷つける恐れがあるので注意が必要です。

歯と歯の接触点を通過したら、抵抗がなくなる感覚があります。そこから先は、片方の歯に沿わせるようにして、歯茎の中(歯周ポケット内)に1~2ミリ程度挿入します。

清掃の動作

フロスを一方の歯の側面に押し当て、歯茎の奥から歯の頭の方向へ、上下に2~3回動かします。歯の表面をこすり上げるイメージです。これにより、歯の側面に付着したプラークを効果的に除去できます。

同じ歯間でも、両側の歯それぞれについて行う必要があります。つまり、1つの歯間で2回の清掃動作が必要です。

次の歯間へ移動

一つの歯間の清掃が終わったら、フロスの指への巻き方を調整し、きれいな部分を使って次の歯間を清掃します。使用済みの部分を再利用すると、汚れを別の場所に移してしまう可能性があります。

取り出し方

清掃が終わったら、挿入したときと同じように、ノコギリを引くように前後に動かしながらゆっくりと取り出します。無理に引っ張ると、詰め物が取れたりフロスが切れたりすることがあります。

ホルダー付きフロスの使い方

ホルダー付きフロスは、フロスの部分を歯と歯の間に当て、前後に動かしながら挿入します。挿入後、歯の側面に押し当てながら上下に動かします。

奥歯に使用する場合は、Y字型が便利です。前歯にはF字型も使えます。ホルダーの角度を変えながら、すべての歯間に届くように工夫しましょう。

フロスを使うタイミングと頻度

1日1回は必須

理想を言えば毎食後にフロスを使いたいところですが、現実的には難しいでしょう。最低でも1日1回、就寝前の歯磨き時に使用することが推奨されています。

就寝中は唾液の分泌が減少し、細菌が増殖しやすい環境になります。そのため、寝る前に歯間のプラークを徹底的に除去しておくことが重要です。

歯磨きの前か後か

フロスを使うタイミングは、歯磨きの前でも後でも効果に大きな差はありません。ただし、歯磨きの前にフロスを使うことで、歯間の汚れが浮き上がり、その後のブラッシングとうがいで効果的に除去できるという考え方もあります。

自分が続けやすいタイミングで使用することが最も重要です。

全ての歯間に使う

一部の歯間だけでなく、全ての歯と歯の間(親知らずを除いて通常28箇所)にフロスを通すことが大切です。面倒に感じるかもしれませんが、慣れれば3~5分程度で完了します。

よくある疑問と注意点

フロスをすると歯茎から血が出る

初めてフロスを使う方や、久しぶりに使う方は、歯茎から出血することがあります。これは歯茎に炎症がある証拠です。ただし、正しい方法で優しく使えば問題ありません。

継続的にフロスを使うことで、歯茎の炎症が改善され、出血は徐々に減っていきます。1週間続けても出血が止まらない場合は、歯科医院を受診しましょう。

フロスが引っかかる・切れる

フロスが特定の場所で引っかかったり切れたりする場合、そこに虫歯や歯石、不適合な詰め物がある可能性があります。歯科医院で確認してもらいましょう。

詰め物が取れないか心配

正しく使えば、フロスで詰め物が取れることはほとんどありません。もし頻繁に取れる場合は、詰め物の適合が悪い可能性があるため、歯科医師に相談すべきです。

子どもにも必要か

乳歯でも歯と歯の間に隙間がない場合は、フロスの使用が推奨されます。ただし、子ども自身で行うのは難しいため、保護者が仕上げとして行うと良いでしょう。小学校高学年頃から、徐々に自分でできるように練習していきます。

フロスと歯間ブラシの違い

フロスは歯と歯の間が狭い部分に適しています。一方、歯間ブラシは歯と歯の間に隙間がある部分や、ブリッジの下などに使用します。

若い方や歯茎が健康な方は主にフロスを使い、加齢や歯周病により歯間が広がっている方は、部位に応じて歯間ブラシと使い分けることが理想的です。

フロス習慣を続けるコツ

習慣化するまで続ける

最初は面倒に感じるかもしれませんが、2~3週間続けると習慣になります。歯磨きセットの横にフロスを置いておくなど、目につく場所に置くことで忘れにくくなります。

ながら作業として取り入れる

テレビを見ながら、お風呂に入りながらなど、何かをしながらフロスを使うことで、時間を有効活用できます。

効果を実感する

フロスを使った後の爽快感や、使用前後での口臭の変化を意識すると、継続のモチベーションになります。

まとめ

デンタルフロスは、歯ブラシだけでは除去できない歯と歯の間のプラークを効果的に取り除く、口腔ケアに不可欠なツールです。正しい方法で使用することで、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。

最初は時間がかかったり、うまく使えなかったりするかもしれませんが、練習すれば必ず上達します。歯科医院で実際に使い方を教えてもらうことも効果的です。1日1回、就寝前のフロス習慣を始めて、一生自分の歯で食べられる健康な口腔環境を維持しましょう。

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