はじめに
歯を失った際の治療法として、代表的なものに「インプラント」と「入れ歯」があります。どちらも失った歯の機能を回復させる治療ですが、その仕組みや特徴は大きく異なります。インプラントは高額だけど快適、入れ歯は安価だけど不便というイメージを持っている方も多いでしょう。しかし、それぞれにメリットとデメリットがあり、患者さんの状況によって最適な選択は変わってきます。この記事では、インプラントと入れ歯の違いについて、構造、費用、治療期間、メリット・デメリットなどを詳しく比較していきます。
インプラントとは
インプラントの構造
インプラントは、顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。インプラント体は主にチタン製で、骨と結合する性質を持っています。
構造は3つのパーツから成り立っています。顎の骨に埋め込まれる「インプラント体(人工歯根)」、インプラント体と人工歯を連結する「アバットメント」、そして歯の部分となる「上部構造(人工歯)」です。
インプラントの治療過程
インプラント治療は、まず精密検査を行い、CT撮影などで骨の状態を確認します。次に、外科手術でインプラント体を顎の骨に埋め込みます。その後、3〜6ヶ月程度の治癒期間を経て、骨とインプラント体が結合するのを待ちます。
結合が確認できたら、アバットメントを装着し、最終的な人工歯を作製して装着します。全体の治療期間は、通常4〜12ヶ月程度かかります。
入れ歯とは
入れ歯の種類
入れ歯には大きく分けて、総入れ歯と部分入れ歯があります。総入れ歯は、すべての歯を失った場合に使用する入れ歯で、歯茎に吸着させて使用します。部分入れ歯は、一部の歯を失った場合に使用し、残っている歯にバネ(クラスプ)をかけて固定します。
また、保険適用の入れ歯と自費の入れ歯があり、使用する材料や精度が異なります。
入れ歯の構造
入れ歯は、人工歯が並んだ「義歯床(ぎしそう)」と呼ばれる土台部分と、部分入れ歯の場合は残存歯に引っ掛ける「クラスプ(バネ)」から構成されています。
保険適用の入れ歯では、義歯床はプラスチック(レジン)製です。自費の入れ歯では、金属床や柔らかいシリコン素材など、様々な材料を選択できます。
入れ歯の治療過程
入れ歯の作製は、まず口腔内の検査と型取りを行います。次に、咬合採得(噛み合わせの記録)を行い、仮合わせで形や色を確認します。最終的な入れ歯が完成したら装着し、調整を繰り返して使いやすくしていきます。
治療期間は通常1〜2ヶ月程度で、インプラントと比較すると短期間で完成します。
インプラントと入れ歯の主な違い
安定性と咀嚼力
インプラントは顎の骨に直接固定されているため、天然歯に近い安定性があります。咀嚼力(噛む力)も天然歯の約80〜90パーセント程度回復でき、硬い食べ物もしっかり噛むことができます。
一方、入れ歯の咀嚼力は天然歯の30〜40パーセント程度とされています。特に総入れ歯では、歯茎の上に乗せているだけなので、ずれたり外れたりする不安があり、硬いものや粘着性の高い食べ物は食べにくくなります。
周囲の歯への影響
インプラントは独立して機能するため、周囲の健康な歯を削ったり、負担をかけたりする必要がありません。むしろ、失った歯の部分の骨を維持することで、顎全体の健康を保つ効果があります。
部分入れ歯の場合、クラスプをかける歯に負担がかかり、長期的にはその歯を失うリスクがあります。また、入れ歯の下の骨は徐々に吸収されていく傾向があります。
見た目と違和感
インプラントは天然歯と見分けがつかないほど自然な見た目を実現できます。また、口の中に異物感がほとんどなく、違和感も少ないのが特徴です。
入れ歯は、特に保険適用のものでは、部分入れ歯の金属のバネが見えたり、総入れ歯の義歯床が厚くて違和感があったりします。自費の入れ歯では、バネのない審美的なものや、薄い金属床で違和感を軽減したものも選択できます。
手入れと管理
インプラントは天然歯と同様に、歯ブラシとフロスを使った日常的な口腔ケアを行います。特別な手入れは必要ありませんが、定期的な歯科医院でのメンテナンスが重要です。
入れ歯は、毎食後に外して洗浄する必要があります。就寝時には外して専用の洗浄剤に浸けるなど、特別な管理が必要です。また、定期的な調整や作り直しも必要になります。
治療期間
インプラントの治療期間は4〜12ヶ月程度と長期にわたります。骨の状態によっては、骨造成などの追加処置が必要となり、さらに期間が延びることもあります。
入れ歯は1〜2ヶ月程度で完成し、すぐに使用を開始できます。急いで歯を入れたい場合には、入れ歯の方が適しています。
費用
インプラントは保険適用外(自費診療)で、1本あたり30万円から50万円程度かかります。複数本の治療が必要な場合、総額はかなり高額になります。
入れ歯は保険適用の場合、部分入れ歯で5千円から1万5千円程度、総入れ歯で1万円から2万円程度と、非常に安価です。自費の入れ歯の場合は、10万円から100万円以上と幅があります。
適応条件
インプラントは、顎の骨が十分にあることが条件です。骨が不足している場合は骨造成が必要になります。また、重度の糖尿病や骨粗鬆症、心臓病などの全身疾患がある場合、治療が難しいことがあります。喫煙者もインプラントの成功率が低下します。
入れ歯は、ほとんどの方が治療を受けられます。外科手術が不要なため、全身疾患がある方や高齢の方でも安全に治療できます。
それぞれのメリット・デメリット
インプラントのメリット
天然歯に近い咀嚼力と安定性があり、見た目が自然で美しく、周囲の健康な歯を傷つけない、違和感がほとんどない、適切なケアで長期間使用できる(10年以上)などの利点があります。
インプラントのデメリット
費用が高額で、外科手術が必要、治療期間が長い、全身疾患や骨の状態によっては治療できない場合がある、定期的なメンテナンスが必須などのデメリットがあります。
入れ歯のメリット
保険適用で安価に作製できる、外科手術が不要で体への負担が少ない、短期間で完成する、ほとんどの方が治療を受けられる、修理や調整が比較的容易などの利点があります。
入れ歯のデメリット
咀嚼力が弱く硬いものが食べにくい、ずれたり外れたりする不安がある、違和感が大きい場合がある、クラスプが見えて審美性に劣る(部分入れ歯の場合)、毎日の取り外しと洗浄が必要、数年ごとに作り直しが必要などのデメリットがあります。
どちらを選ぶべきか
予算を重視する場合
初期費用を抑えたい場合は、保険適用の入れ歯が適しています。ただし、長期的な視点で見ると、入れ歯は数年ごとに作り直しが必要なため、トータルコストはインプラントとあまり変わらなくなる可能性もあります。
快適性と機能性を重視する場合
快適に食事を楽しみたい、見た目を重視したい、違和感のない生活を送りたいという場合は、インプラントが適しています。
健康状態と年齢を考慮する
全身疾患があったり、高齢で外科手術のリスクが高かったりする場合は、入れ歯が安全な選択肢となります。
中間的な選択肢
インプラントと入れ歯の中間的な選択肢として、「インプラントオーバーデンチャー」という方法もあります。これは、数本のインプラントを土台として入れ歯を固定する方法で、通常の入れ歯よりも安定性が高く、総インプラントよりも費用を抑えられます。
まとめ
インプラントと入れ歯は、それぞれ異なる特徴を持つ治療法です。インプラントは、天然歯に近い機能と見た目を実現できますが、費用が高額で治療期間も長くなります。入れ歯は、安価で短期間に作製でき、体への負担も少ないですが、咀嚼力や安定性ではインプラントに劣ります。
どちらを選ぶかは、予算、健康状態、年齢、ライフスタイル、何を優先するかによって変わってきます。歯科医師とよく相談し、自分に最適な治療法を選択することが大切です。場合によっては、両方の治療法を組み合わせることも検討できます。
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