
はじめに
マウスピース矯正を検討している方や、すでに治療を始めた方の中には、「アタッチメント」という言葉を聞いて戸惑った経験がある方もいるかもしれません。マウスピース矯正は透明なマウスピースだけで歯を動かすと思っていたのに、歯の表面に何か付けると聞いて驚いた方も少なくないでしょう。アタッチメントは、マウスピース矯正において非常に重要な役割を果たす小さな突起物です。これがあることで、マウスピース矯正の適応範囲が大幅に広がり、より効果的に歯を動かすことができるようになりました。本記事では、アタッチメントとは何か、なぜ必要なのか、どのような種類があるのか、そして見た目や装着感について詳しく解説します。
アタッチメントとは
アタッチメントとは、マウスピース矯正において、歯の表面に接着する小さな突起物のことです。歯と同じ色の樹脂(コンポジットレジン)でできており、サイズは数ミリ程度の非常に小さなものです。
アタッチメントは、マウスピースと歯の間に設置され、マウスピースがアタッチメントを押すことで、歯により効果的に力を伝えることができます。いわば、マウスピースが歯をつかむための「取っ手」や「支点」のような役割を果たします。
すべてのマウスピース矯正でアタッチメントが必要というわけではありませんが、多くの症例で使用されます。特にインビザラインなどの代表的なマウスピース矯正システムでは、アタッチメントを活用することで、より複雑な歯の動きに対応できるようになっています。
治療計画に応じて、どの歯にどのような形状のアタッチメントを付けるかが決定され、治療の進行に合わせて付けたり外したりすることもあります。
アタッチメントの役割
小さなアタッチメントが、なぜ重要な役割を果たすのでしょうか。その理由を詳しく見ていきましょう。
歯に効果的に力を伝える
マウスピースだけでは、歯に対して均一に力をかけることしかできません。しかし、アタッチメントがあることで、特定の方向により強い力をかけたり、効率的に力を伝えたりすることができます。
例えば、歯を前後に動かす、回転させる、垂直方向に動かすといった複雑な動きを実現するためには、アタッチメントが不可欠です。
支点としての機能
物理学でいうところの「テコの原理」を利用して、アタッチメントを支点として歯を動かします。適切な位置にアタッチメントを配置することで、少ない力で効率的に歯を移動させることができます。
マウスピースの保持力を高める
アタッチメントがあることで、マウスピースが歯にしっかりとフィットし、外れにくくなります。これにより、マウスピースが常に適切な位置に保たれ、計画通りに力がかかり続けます。
複雑な歯の動きを可能にする
アタッチメントの登場により、マウスピース矯正で対応できる症例の範囲が大幅に広がりました。従来はワイヤー矯正でしか対応できなかった複雑な症例にも、マウスピース矯正で対応できるようになったのです。
アタッチメントの種類
アタッチメントにはいくつかの種類があり、歯の動かし方や位置によって使い分けられます。
形状による分類
アタッチメントの形状には、長方形、楕円形、三角形、台形などがあります。それぞれの形状には、特定の歯の動きに適した特性があります。
例えば、歯を回転させる際には長方形や楕円形のアタッチメントが、歯を垂直方向に動かす際には特定の形状が使用されます。
目的による分類
回転用アタッチメントは、歯を回転させるために使用されます。八重歯など、向きが正しくない歯を回転させて正しい位置に並べる際に重要です。
挺出・圧下用アタッチメントは、歯を上下方向に動かすために使用されます。歯の高さを調整する際に必要です。
ルートコントロール用アタッチメントは、歯の根っこの位置を調整するために使用される、やや高度な動きに対応したものです。
最適化アタッチメント
インビザラインなどの最新システムでは、各患者の治療計画に基づいて、コンピューターが最適な形状、サイズ、位置を計算してくれる「最適化アタッチメント」が使用されることもあります。
アタッチメントの装着方法
アタッチメントは、歯科医院で歯科医師または歯科衛生士によって装着されます。その手順を簡単にご紹介します。
まず、歯の表面を清掃し、接着しやすい状態にします。専用のテンプレートをマウスピースの形に合わせて作製し、これを歯に当てます。
テンプレートの穴の部分に、歯と同じ色の樹脂を流し込み、特殊な光を当てて硬化させます。テンプレートを外し、余分な樹脂を削って形を整えたら完成です。
装着自体は痛みを伴わず、30分から1時間程度で終了します。麻酔も必要ありません。
アタッチメントの見た目
マウスピース矯正を選ぶ理由の一つが「目立たない」ことですが、アタッチメントを付けると目立つのではないかと心配される方もいます。
実際のところ、アタッチメントは歯と同じ色の樹脂でできているため、至近距離でじっくり見られない限り、ほとんど気づかれません。大きさも数ミリと非常に小さく、歯の表面にわずかな凹凸がある程度です。
マウスピースを装着している状態では、アタッチメントはマウスピースの中に収まるため、さらに目立ちにくくなります。
日常会話や笑顔の際に、アタッチメントが目立って見えることは少ないため、見た目を気にする方でも安心して治療を受けられます。
ただし、前歯に多くのアタッチメントを付ける必要がある場合は、多少目立つこともあります。気になる場合は、事前に歯科医師に相談しましょう。
アタッチメントの装着感
アタッチメントを付けた直後は、舌で触ると少し違和感があるかもしれません。歯の表面に小さな突起があるため、最初は異物感を感じることがあります。
しかし、多くの方は数日から1週間程度で慣れ、ほとんど気にならなくなります。アタッチメントは滑らかに研磨されているため、口の中を傷つける心配はありません。
マウスピースを装着している状態では、アタッチメントはマウスピースの中に収まっているため、違和感はさらに少なくなります。
食事や歯磨きの際にマウスピースを外したときに、舌でアタッチメントを感じることがありますが、日常生活に支障をきたすほどではありません。
アタッチメントのケア方法
アタッチメントが付いている状態でも、通常通りの歯磨きができます。特別なケアは必要ありませんが、いくつか注意点があります。
アタッチメントの周りは、プラークが溜まりやすいため、丁寧に磨くことが大切です。歯ブラシを細かく動かして、アタッチメントの縁の部分もしっかり磨きましょう。
硬い歯ブラシで強く磨きすぎると、アタッチメントが取れてしまう可能性があるため、普通の硬さの歯ブラシで優しく磨くことをおすすめします。
デンタルフロスや歯間ブラシも通常通り使用できます。アタッチメントがあるからといって、使用を控える必要はありません。
アタッチメントが取れたらどうする
通常、アタッチメントはしっかりと接着されているため、簡単には取れません。しかし、まれに硬いものを噛んだり、強く歯を磨きすぎたりすると、取れてしまうことがあります。
アタッチメントが取れた場合は、できるだけ早く歯科医院に連絡しましょう。アタッチメントがないと、その歯に適切な力がかからず、治療計画通りに歯が動かなくなる可能性があります。
取れたアタッチメントは、再度装着することができます。予約を取って歯科医院を受診し、再装着してもらいましょう。所要時間は短く、追加費用もほとんどかからないことが多いです。
アタッチメントの除去
治療が終了すると、すべてのアタッチメントを除去します。除去も装着と同様に、歯科医院で行われます。
専用の器具を使ってアタッチメントを削り取り、歯の表面を研磨してきれいにします。この処置も痛みはなく、短時間で終了します。
アタッチメントを除去した後の歯は、元の状態に戻り、跡が残ることはありません。安心してください。
アタッチメントなしのマウスピース矯正もある
すべてのマウスピース矯正でアタッチメントが必要というわけではありません。軽度の歯並びの乱れの場合、アタッチメントなしで治療できることもあります。
また、マウスピース矯正のブランドによっては、アタッチメントをほとんど使用しないシステムもあります。
アタッチメントを付けたくない場合は、カウンセリング時に歯科医師に相談してみましょう。ただし、アタッチメントを使わないことで治療効果が限定される可能性もあるため、よく説明を聞いて判断することが大切です。
まとめ
アタッチメントは、マウスピース矯正において歯に効果的に力を伝えるための小さな突起物です。歯と同じ色の樹脂でできており、数ミリ程度の大きさで、ほとんど目立ちません。アタッチメントがあることで、歯を回転させたり垂直方向に動かしたりする複雑な動きが可能になり、マウスピース矯正の適応範囲が大幅に広がりました。装着感も数日で慣れ、通常通りの歯磨きができます。取れた場合は早めに歯科医院で再装着してもらいましょう。小さな突起ですが、美しい歯並びを実現するための大きな役割を果たしています。
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