「熱いお茶を飲んだら歯がズキンとした」「冷たいものだけでなく、温かいものでも歯が痛む」——このように、温度に関係なく歯の痛みを感じたことはありませんか。冷たいものだけがしみると思われがちですが、実は熱いものでも同じように歯が痛むことがあります。今回は、熱い食べ物と冷たい食べ物の両方で歯が痛くなる理由について詳しく解説していきます。
温度によって歯が痛むのはなぜか
歯は、表面を覆う硬い「エナメル質」、その内側にある「象牙質」、そして中心部にある神経(歯髄)という層構造になっています。エナメル質は非常に硬く、通常であれば外部からの温度変化をしっかりとブロックしてくれる存在です。
しかし、何らかの理由でエナメル質が薄くなったり、歯ぐきが下がって本来はエナメル質や歯ぐきに覆われているはずの象牙質が露出したりすると、話が変わってきます。象牙質には「象牙細管」と呼ばれる無数の細い管が内部の神経までつながるように通っており、この管を通じて温度変化の刺激が神経に直接伝わってしまうのです。この状態を「知覚過敏(象牙質知覚過敏症)」と呼び、冷たいものだけでなく熱いものに対しても、歯が敏感に反応してしまうことがあります。
冷たいものと熱いもの、それぞれで痛みが起こる仕組み
冷たいものでしみる仕組み
冷たい刺激が象牙細管を通じて神経に伝わると、神経が急激な温度変化を感知し、鋭い痛みとして脳に伝達されます。この痛みは一時的なもので、刺激が去ると比較的早く治まることが多いのが特徴です。
熱いものでしみる仕組み
熱い刺激の場合も同様に、象牙細管を通じて神経が刺激されることで痛みが生じます。ただし、熱い刺激による痛みは、冷たい刺激に比べてジンジンとした鈍い痛みとして感じられることが多く、痛みが引くまでにやや時間がかかる傾向があります。
冷熱両方で痛みが出る場合に考えられる原因
冷たいものと熱いものの両方で歯が痛む場合、単純な知覚過敏だけでなく、より進行した状態が隠れている可能性も考えられます。
1.進行した知覚過敏
象牙質の露出が進んでいる場合、冷たい刺激だけでなく、熱い刺激に対しても敏感に反応するようになることがあります。知覚過敏の程度が進むにつれて、温度刺激全般への反応が強くなる傾向があります。
2.虫歯の進行
虫歯が象牙質の深い部分にまで進行すると、冷たいものだけでなく熱いものにもしみるようになることがあります。虫歯による痛みは、知覚過敏に比べて痛みが長く続いたり、何もしていないときにもズキズキとした痛みを感じたりすることが特徴です。
3.歯髄炎(神経の炎症)
虫歯がさらに進行し、歯の神経(歯髄)にまで炎症が達すると、「歯髄炎」と呼ばれる状態になります。歯髄炎になると、冷たいものだけでなく熱いものに対しても強い痛みを感じるようになり、特に熱いものに対して激しく痛むようになることが、歯髄炎の特徴的なサインの一つとされています。歯髄炎が進行すると、何もしていない安静時にもズキズキとした自発痛が生じることがあります。
4.歯根の破折
歯にひびが入っていたり、破折していたりする場合も、温度変化によって痛みが生じることがあります。噛んだときの痛みを伴うことが多いのが特徴です。
5.詰め物や被せ物の劣化
過去に治療した詰め物や被せ物が劣化し、隙間ができていると、その隙間から温度刺激が伝わりやすくなり、痛みを感じることがあります。
熱いものへの反応は要注意なサインかもしれない
一般的に、冷たいものだけにしみる場合は、比較的軽度な知覚過敏であることが多いとされていますが、熱いものにも強く反応する、あるいは熱いものの方がより強く痛む場合は、虫歯が神経に近い部分まで進行している可能性や、歯髄炎を起こしている可能性を考える必要があります。特に、熱いものを口にしたときにズキズキとした痛みが数分以上続く場合は、注意が必要です。
こんな痛み方には特に注意が必要です
以下のような特徴がある場合は、単なる知覚過敏ではなく、より進行した状態である可能性があるため、注意が必要です。
・熱いものに対して特に強い痛みを感じる
・刺激がなくなった後も痛みが長く続く
・何もしていないときにもズキズキとした痛みがある
・夜間、痛みで目が覚めることがある
・噛んだときに痛みを感じる
これらの症状がある場合は、自己判断でのケアにとどめず、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
温度による歯の痛みへの対策
知覚過敏用の歯磨き粉を使用する
軽度の知覚過敏が疑われる場合は、知覚過敏用の歯磨き粉を継続的に使用することで、症状の緩和が期待できます。
正しいブラッシング方法を身につける
歯ブラシの毛先を歯に軽く当て、優しく小刻みに動かす正しい磨き方を心がけましょう。
極端な温度の飲食物を避ける
症状があるときは、極端に熱いものや冷たいものを避け、常温に近いものを選ぶようにすると、刺激を和らげることができます。
食べ方を工夫する
熱いものや冷たいものを口にする際は、少量ずつゆっくりと摂ることで、歯への急激な温度刺激を和らげることができます。
歯科医院を受診すべきタイミング
以下のような場合は、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
・熱いものに強く反応するようになった
・痛みが長く続く、または悪化している
・何もしていないときにも痛みがある
・市販の知覚過敏用歯磨き粉を使っても改善しない
歯科医院では、レントゲン検査などを通じて、知覚過敏なのか、虫歯や歯髄炎が進行しているのかを正確に診断してもらうことができます。歯髄炎が進行している場合、神経の治療が必要になることもあるため、早めの受診が大切です。
まとめ
冷たいものと熱いものの両方で歯が痛む場合、軽度の知覚過敏から、虫歯の進行、歯髄炎まで、さまざまな原因が考えられます。特に熱いものに強く反応する場合や、痛みが長く続く場合は、神経に近い部分まで問題が進行している可能性があるため、注意が必要です。知覚過敏用の歯磨き粉や正しいブラッシング方法を試しても改善しない場合や、症状が悪化している場合には、自己判断せず早めに歯科医院を受診し、正確な原因を確認してもらうことをおすすめします。
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